タイのインターナショナルスクールに関わる仕事を始めてから、約6年が経ちました。
インターナショナルスクールの情報を調べるだけなら、今はAIもたくさん教えてくれます。
学費、カリキュラム、場所、英語のサポート、日本人の割合。以前より、ずっと簡単に情報を集められるようになりました。
それでも、いろいろなご家族とお話ししていると、「情報が足りない」というより、「情報が多すぎて、結局うちに合う学校が分からない」という方が多いと感じます。
条件のよい学校と、その子とご家族に合う学校は、必ずしも同じではありません。
私が学校選びで見ているのは、ランキングや設備だけではありません。そのご家族がタイでどのような毎日を送ることになるのかを、得意の想像力をフルに使って考えます。
ここでは、公式サイトの学校案内だけでは比較しにくい、私が大切にしている視点をまとめます。
この記事でお伝えする6つのポイント
- お子さまの一日を想像する
- 地図だけで通学時間を決めない
- 英語力は入学後まで考える
- 学費以外の費用も確認する
- 日本人の多さ・少なさだけで判断しない
- 家族全体の暮らしまで考える
1.学校のよさだけでなく、お子さまの一日を想像する

学校見学へ行くと、どうしてもキャンパスの広さやプール、図書館、教室のきれいさに目が行きます。
もちろん、設備も大切です。

でも、お子さまが学校で過ごすのは、設備を見て「すごいね」と感動した見学の一日だけではありません。
毎朝起きて、移動して、授業を受けて、友達と過ごして、また家へ帰ってきます。
通学に何分かかるのか。朝は何時に家を出るのか。課外活動のある日も送迎できるのか。子どもが疲れすぎないか。
学校選びは、時間割の中だけではなく、お子さまの朝から夜までを考えてみることが大切です。
カウンセラー北村たえの所感タイで暮らす子どもたちは、どうしても運動量が少なくなりがちです。そのため、私が息子のインターナショナルスクールを選んだときは、放課後の課外活動や設備が充実しているかどうかも、とても気にしていました。
ところが、息子は運動よりもゲームに夢中になり、せっかくの充実した設備も、結局それほど使わないまま日々を過ごすことになりました。
設備の充実した学校は、その維持費などの関係で、設備費や授業料が比較的高めに設定されていることもあります。設備の豪華さだけでなく、お子さまが実際に使いそうか、得意なことや苦手なこと、興味に合っているかまで考えて選べるとよいと思います。
2.通学時間は、地図の距離だけで決めない
バンコクでは、地図の上では近く見える場所でも、時間帯によって移動時間が大きく変わります。
「直線距離では近い」と、「毎日通いやすい」は別の話です。
スクールバスのルートや乗車時間、渋滞する時間帯、きょうだいが別の学校へ通う場合の送迎まで見ておきます。
毎日の30分、40分は、1日だけなら大したことがないように感じます。でも、それが毎日続くと、子どもにも、送迎するご家族にも、じわじわと影響します。
カウンセラー北村たえの所感タイのスクールバスは、学校やルートにもよりますが、朝6時から7時ごろにマンションへ迎えに来ることが多いです。渋滞が本格的に始まる前に出発するため、タイで学校へ通う子どもたちの朝はとても早くなります。
学校によっては集合時間に1〜2分遅れただけでも、バスが待たずに出発してしまうことがあります。そんなときは、急いで先回りして次の乗車場所からバスに乗せたり、お父さまの通勤用ドライバーに学校を経由してもらったりすることもあります。
また、幼稚園児や小学校低学年のお子さまが、降車確認の不備によってバスの中に取り残されることを心配される保護者の方も少なくありません。学校見学の際には、添乗員の有無、乗降時の点呼、降車後の車内確認、保護者への乗降通知、緊急時の連絡方法など、安全管理の仕組みも確認しておくと安心です。
スクールバスが利用できるかだけでなく、迎えの時間、乗車時間、遅れた場合の対応、そして安全管理まで確認しておくと、入学後の生活をより具体的に想像できます。
3.英語力は「入学できるか」だけでなく、入学後まで考える
英語に自信がないお子さまの場合、保護者の方が心配されるのは当然だと思います。
そのときは、入学試験に合格できるかだけでなく、入学後に授業へどのように参加していくのかを確認します。
- EALや英語補習は、週にどのくらいあるのか
- 通常の授業から離れて受けるのか
- 追加料金はかかるのか
- どのような状態になればサポートが終了するのか
- 宿題や評価について、保護者はどの程度支援が必要なのか
年齢が上がるほど、英語だけでなく、それまで学んできた教科の内容やカリキュラムの違いも関係します。
「英語ができないから無理」と早く決めつける必要はありません。ただし、「入れる学校」と「入学後も無理なく学べる学校」は分けて考えたほうがよいと思います。
4.学費以外の費用は、必ず分けて確認する
学校のサイトに「年間授業料」が書かれていても、実際に初年度に必要な金額とは限りません。
学校によって名前は異なりますが、例えば次のような費用があります。
- Application Fee、Assessment Fee
- Registration Fee、Admission Fee、Enrolment Fee
- Security Deposit、Bond
- Facility Fee、Capital Fee
- スクールバス代
- 制服・教科書・デバイス代
- 給食費
- EALや個別サポート費
- 試験費、課外活動費、学校旅行費
- 寮費
私は、授業料と初年度費用を分け、デポジットは返金条件があるかも確認するようにしています。
また、初年度の金額だけでなく、2年目以降に必要な費用も一緒に見ておくと、家計の計画を立てやすくなります。
学年が上がったときの授業料、為替の変動、年度ごとの改定も含めて、「今払えるか」だけでなく「予定する在籍期間を通して無理がないか」を考えておくことが大切です。
カウンセラー北村たえの所感会社からの教育費補助の金額によって、ご家庭の予算は変わってくると思います。カウンセリングでは、ご予算に合う価格帯だけでなく、少し上の価格帯と、少し下の価格帯の学校もお伝えするようにしています。
実際に比較してみると、「この差額なら、少し無理をしてでもこの学校に通わせたい」と決意される方もいらっしゃいます。一方で、「この価格帯なら、授業料を抑えた学校でも、わが子は十分安心して通える」と判断されるご家庭もあります。
何に価値を感じ、どこまでなら負担できるのか。その判断基準はご家庭によってさまざまです。最初から一つの価格帯だけに絞らず、少し幅を持たせて比べてみることで、ご家庭が本当に大切にしたいことが見えやすくなると思います。
5.「日本人が多い・少ない」だけで良い悪いを決めない
日本人が多い学校の安心感が合うお子さまもいます。日本語で相談できる保護者がいることや、同じような経験をしている友達の存在が、スタート時の安心につながることもあります。
一方で、できるだけ日本人の少ない環境へ行きたいご家族もいます。
どちらが正解ということではありません。
お子さまの性格、年齢、英語力、海外生活の経験、そしてご家族が何を優先したいのかで、意味が変わります。
日本人比率の数字だけで決めるのではなく、その環境でお子さまがどのように毎日を過ごせそうかを考えます。
カウンセラー北村たえの所感個人的な意見ですが、入学して最初の1年ほどは、ある程度日本人のお友達と交流を持つことが、お子さまにとって必要な場合もあると思います。慣れない言葉や環境の中で、日本語で気持ちを伝えられる友達の存在が、安心につながることもあるからです。
英語力が上がり、お子さま自身が少しずつ自信を持てるようになると、日本人以外の生徒とも自然に友達になり、英語を話す時間が増えていくケースを多く見てきました。
もちろん、慣れるまでの時間や友達のつくり方は、お子さまの性格や学年によって異なります。「日本人の少ない環境へ入れれば、すぐに英語が伸びる」と考えるだけでなく、毎日学校へ通うお子さまの精神的な負担にも目を向け、少しずつ新しい環境になじめるように支えてあげることが大切だと思います。
6.学校選びは、学校の中だけで完結しない

私はカウンセリングのとき、学校とは直接関係がなさそうなことも、いろいろとお伺いします。
ご主人の勤務地、奥様がタイでやりたいこと、お子さまの塾や受験、きょうだいの学校、タイでの滞在予定期間。
そこまで聞くのは、学校はよくても、ご家族の生活全体に無理があれば、後から負担が出てくることがあるからです。
お子さまが通う学校だけでなく、ご家族全員がタイでどのように暮らすのか。
そこまで想像して初めて、「ご家族に合う学校」が見えてくると思っています。
実際のご相談でも、学校選びの悩みは家庭ごとに違います
これまでご相談いただいたご家庭にも、初めての海外赴任で高校からの編入に不安があった方、日本人学校からインターナショナルスクールへの転校を考えた方、親子留学でタイへ来られた方など、さまざまなケースがありました。
同じ「学校選び」でも、重視することは同じではありません。
- 高校生の編入では、卒業資格やその先の進学まで見通せるか
- 日本人学校からの転校では、英語力だけでなく学習内容の違いに対応できるか
- 親子留学では、学校だけでなく住まいや現地生活も無理なく成り立つか
ご家庭ごとの背景を伺って初めて、比較すべき学校や確認したい質問が具体的になります。実際の相談事例は、お客様のお声|後悔しない学校選びを実現でもご紹介しています。
候補校が見えたら、入学までを逆算する
相性のよい学校が見つかっても、希望する時期に必ず入学できるとは限りません。空き状況、出願期限、必要書類、入学テストの内容は学校や学年によって異なるためです。
私は、学校選びと入学準備を別々に考えず、次の流れで整理するようにしています。
- 予算、通学エリア、教育方針、英語力から候補を絞る
- 学校見学やオンライン見学で、雰囲気とサポート内容を確かめる
- 入学条件、空き状況、試験、必要書類、期限を確認する
- 英文成績書や推薦状などを準備し、出願する
- 合格後の支払い、デポジット、制服、バス、新生活の準備を進める
特に編入時期が決まっているご家庭は、早めに全体像を把握しておくと、候補校の比較にも余裕が生まれます。詳しい手続きは、バンコクのインターナショナルスクール入学・編入までの流れにまとめています。
情報が多い今だからこそ、優先順位を整理する
ここまで書いてきたことを、すべて完璧に調べようとすると、今度は決められなくなってしまうかもしれません。
学校選びに必要なのは、すべての条件で一番の学校を探すことではなく、ご家族が何を大切にしたいのかを整理することです。
学費、通学、英語サポート、カリキュラム、進学、日本人の人数、学校の雰囲気。
絶対に譲れない条件は何か。できれば叶えたい条件は何か。受け入れられることは何か。
それを一緒に整理しながら、無理なく通える候補校を絞っていく。
私がカウンセリングでしたいのは、ただ学校名をお伝えすることではなく、そのご家族にとっての学校選びの軸を、一緒に見つけることです。
といいつつ、30分のはずのカウンセリングが、ついつい1時間以上になってしまうことも多いのですが。
情報の一歩先まで一緒に考えながら、ご家族が安心して新しい生活を始められる学校選びをお手伝いしたいと思っています。
「候補が多すぎて絞れない」「この学校で本当に合っているか確認したい」という段階でも大丈夫です。まずは、ご家庭にとって譲れない条件と、入学までに必要な準備を一緒に整理していきましょう。






